神様の憂鬱
「永遠の命が欲しいですか?」
これが僕の贖罪。
浅ましい奴らに、お望みのものを。
「死なない体になれば何だって出来ます。
正義のヒーローになって文字通り命をかけて人を救うことも
テロリストになって何度でも自爆を起こすことも」
一応僕の役割は天使ということになっている。
しかし僕は元々罪を犯した人間なのだ。
神様の特別な計らいによって、今この仕事に就いている。
もし自分が善良な人間で、永遠の命を与えられる側だったなら?
そんなことは考えたくもない。
「大それたことをしなくても、死なないというだけで
ずっと安心して人生を送れます。
もしもの時に大切な人を守ることが出来ます。
魅力的じゃあありませんか?」
花は散るから美しい、とは誰が言った言葉だったか。
しかし僕は、永遠の命を人に与えることに何ら罪悪感は感じていない。
ただの作業と変わりはないのだ。
「さあ、悩んでないで。代償なんか要求しません。
あなたが首を縦に振りさえすればいいのです」
こうしてまた、一人の人間が死ななくなった。
死ぬことが出来なくなった。
その内地上は人間で溢れ、やがて収拾が付かなくなるだろう。
そして、天界に人間の魂が来なくなる。
天使や神々にもようやく穏やかな時間が訪れることだろう。
何で神様はこんなことするかって?
「働きたくない」んだってさ。
*後書き
なんか書いてみようと思ったらさらっと出来た奴。
肉付けが面倒だったので短いです←
ただ、それなりに良い感じのものになってるんじゃないかなあと。
オチがギャグなのに後味の悪い終わり方って面白いですよね。
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