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1/6600000000の欠片



―――世界は、私が居なくても成り立つんだろうな。

そう考えた直後、私の意識は暗闇に呑まれていった。


目が覚めると、白い天井があった。
手首には包帯が巻かれている。

本来なら見れないはずの光景を、私は見ていた。
そう、私は自殺に失敗したのだった。
どうやら傷は深くないようだが、
発見されるのが遅れたため、入院するまでの重傷になってしまったらしい。

自殺に至るまでの経緯なんか簡単だ。
クラスメイトによる陰湿な“いじめ”。
テレビで特集されているようなものとは根本からして違う。
口にするのも憚られるようなそれは、小心者で悲観的な私を「死んでしまおう」と思わせるには十分だった。

ここへ来て何日かが過ぎた。
病室は何もすることが無いので、ついついあのことを考えてしまう。
意識が消える前の刹那に私の脳裏に浮かんだこと。

私は思想家でも何でもないただの高校生なので偉そうなことは言えないが、
あの考えには多少自信を持っている。
形や大きさ、中身は違えども、私達は60億人の内のたった一人でしか無いのだ。
一つぐらい無くなっても、また新しい欠片が生まれる。他の欠片が隙間を埋めてくれる。
そう思うと、旅立つこちらの気も幾分か安らぐというものだ。

…本当は、そう“思い込まないと”自殺なんて出来やしないというだけなのだけど。
一応こんな自分でも育ててくれた両親には感謝しているし、
そんな人達を裏切るような真似は、小心者の私には、出来ない。

でも、私はたった1/6600000000でしかないのだから。
どうか、哀しまないで。


私は、窓枠に足を掛けた。






*後書き





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